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俗に『恋から愛に変わる』だなどと吹いて回る輩もいるが

『恋』は状況的表現。
『愛』は感情的表現。

それを一緒くたに纏めようとするから混乱するのだ。
相似していても同一ではないものは、沢山ある。

「じゃあ、『恋の次に訪れるもの』は、なぁに?」

君が問う。

「当然、『恋の終わり』じゃねぇの?」

俺が答える。

「違うわよ。私の気持ちは終ってなんかないもの!」

君が脹れる。

「……じゃ、『恋の続き』なんだろ?」

君の可愛い脹れっ面に、思わず笑みが漏れそうになる頬を慌てて引き締め、さらっと続ける。

俺の声が耳から入って、頭に届いて、それの意味に気付いて。
それが殺し文句だと言う事にも気付いて、君は音がするのではないかというくらいの勢いで、顔を朱に染める。

君の瞳が訴える。

信じられない。
どうしてこの人はこうなんだろう。
凄く根性が曲がってる。
私が照れて困るとわかっていて、敢えてこうゆうことをする。
こんなの、素直に『愛してる』と言われるより、よっぽど恥ずかしいじゃないの!

だってそれは、『恋の終わり』が来てはいないという俺の気持ちをも代弁していて。
しかもそれを、「今日も良い天気だな」とでも言うかのように、あっさりきっぱり言われてしまっては、君はもう、黙るしかないのだから。

それならば。
君の質問は愚問だということを。
俺達の、俺の愛情を、決して疑うことなく信じて欲しい。

それでなくても俺達は、『恋』の真っ只中にいるのだから。
(そう。私達は、『恋』の真っ只中にいるというのに)

まだ加速していく、『恋』の真っ只中にいるのだから。
(止まるということを知らないかのように加速していく、『恋』の真っ只中にいるというのに)