明日は引っ越しだ。
愛ちゃんは泣いている。
遠い所に行きたくないんだね。
お友達と別れたくないんだね。
今日も愛ちゃんは僕を散歩に連れて行ってくれた。
けど、いつも散歩している土手で夕焼けを見ながら愛ちゃんは立ち止まってしまった。
立ち止まって泣きながら夕日を見ていた。
僕は声をかけることができなくて。
しょうがないから愛ちゃんの横に座ってたんだ。
愛ちゃんは泣きながら僕を抱きしめていた。
しばらくそのまんまで真っ赤でキレイな夕日を眺めていたよ。
明日は引っ越しだ。
愛ちゃんは泣いている。
ここから離れたくないんだね。
知らないところに行きたくないんだね。
隣に住むサビ猫くんとも話をした。
サビ猫くんが教えてくれたよ。
人間にはどうしようもなく、引っ越しをしなきゃいけない時があるんだって。
パパが別の場所で働かなくちゃいけなくなったらしい。
だからママも愛ちゃんも一緒に引っ越すんだ。
もちろん僕も行く。
僕まで居なくなったら愛ちゃんがかわいそうだ。
明日は引っ越しだ。
愛ちゃんは泣いている。
ママは愛ちゃんをなだめている。
パパはちょっと困った顔をしている。
引っ越した先には新しいお家があるんだろう。
けれども新しいお家を見ても、愛ちゃんの悲しみはなくならない。
だから僕がそばにいるんだ。
ずっと僕が愛ちゃんを守るんだ。
ずっとずっとそばに居るから。
大丈夫だよ。
愛ちゃんが居るところが僕のお家なんだから。